reikonoburogu霊子の日記

あなたは霊の存在を信じますか?

心霊体験の話・飛脚の道案内

これは私の知り合い霊子(仮名)から聞いた話です。
昔から霊が見えるという霊子です。
本当かどうかは私にはわかりません。
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私は自分で方向音痴だと思う。
私が高校の頃、チェーン店のアイスクリーム店でバイトをしていた。バイト先の店が2か所あり、シフトの都合でどちらかに出ていた。
遠い方の鹿島店(仮名)は、少し遠いし、引っ越してきてまだ数年なので、道順がよくわかっていなかった。
父親や店の人に送り迎えしてもらっていたからだ。
そこの駐車場は、夜間は閉まる。バイトも終わって父親に電話すると、駐車場が閉まるから、その先を行ったところの店で待つように言われた。なので、向かい始めたが、すぐに道順が分からなくなった。
鹿島店の裏には、慰霊碑が立っている。なのでその場所は嫌いで近づかないようにしていたのだが、その場所の近くにいたのに気づいた。
すると、ぽわーんと江戸時代の飛脚のような荷物を持った姿の霊が現れた。私は飛脚なら色々な場所は分かっているはずだと思い、向こうを向いてしゃがんでいる飛脚さんに声を掛けた。「すみませーん、ちょと道をお尋ねしたいんですけど。」と言うと、振り向いたのだが、その顔がおどろおどろしく、目は白くて口は口角が跳ね上がり、ヤバいと思った。しかし立ち上がると身長が私よりもずいぶん小さかった。ある意味「かわいい」と思った。
私は江戸時代に今の言葉が通じるか不安だったが「表通りに出たいんですけど。」と聞いてみた。
すると、「ついて来い」と言われたような気がした。
私は心の中で「はい」と答えて付いて行った。
すると、表通りに出て、父親の車が見えた。この飛脚さん「ナイス!」と思った。
しかし、足元のわらじが、鼻緒が切れて べらん となっているのに気づいた。
私は当時髪が長く、ゴムで結んでいたので、そのゴムでわらじの鼻緒を結んであげる仕草をした。
本当に結んであげたかったのだが、実際はわらじに手を伸ばしても、掴むことすらできないのだ。
でも、「これでよし。」と言って、車に乗った。
車の中からそちらを見ると、白くボワンと光っていた。私の頭の中には飛脚さんがいるように見え、荷物を結んだ棒を振っていた。なので、心の中で「ありがとう。」と言うと、飛脚さんが「下駄、助かった。達者でな。」と言っているように感じた。私は、意思の疎通が出来たと感じ、嬉しかった。わらじと下駄は違ったけど。
私は車の中で父親と「この辺は幽霊の通り道なのかなあ。」と話した。
あとで父親が会社の人と話した内容では、鹿島店の道は、昔からの街道で、それこそ昔は飛脚が往来していたそうだ。あの慰霊碑はその関係らしい。
次の日もバイトのシフトが鹿島店になった。なので父親に昨日の場所に迎えに来るように頼んだ。
その日はお客さんが多く、店を終わっても片付けに時間が掛かり、昨日よりだいぶ遅れた。
しかし、帰りに店のアイス最中を買って帰ることにした。私は、昨日の飛脚さんと別れた場所まで行って、置いたままになっているゴムを回収して、もし飛脚さんがいたら、この品をあげようと思っていた。
昨日の場所まで来ると、またボワンと白い光が見え、飛脚さんがいた。「こんばんわ。」と声を掛けると、おどろおどろしい顔を向けたが、すぐに穏やかになった。
「昨日はほんとにありがとうございました。」と言うと、飛脚さんも頷いてみせてくれた。
私は周りにゴムが落ちていないか探したが、周りには無かった。すると飛脚さんが慰霊碑を指さしているのに気づいた。見るとお供えしているかのように、ゴムがそこに置いてあった。
「あ、これ私のだから、返してくださいね。」と言って手に取った。かわりに買ったアイス最中を置き、「これ、アイス、お菓子、食べてください。また、次いつ来るかわかんないけど、達者でな。」と言った。
すると、おどろおどろしい顔は変わらないのだが、私には、ニコッと笑ったように見えた。
車に乗り込み、またそちらを見ると白くボワンと光っていた。
心の中で「ありがとう。食べてね。」と言うと、「かたじけない。」と聞こえた気がした。
私の父親は意外と厳しく、学校のテストで80点以下を取るとすごく怒る。
なので、その日もバイトから帰って勉強した。
すると、「カタ」っと音がした気がして、気づくと2時を回っていた。さすがに明日のテストで居眠りしたらまずいと思い、お風呂に入って寝ることにした。
お風呂に入っていると、窓の外に白いものが近づいて来ているのが見えた。
これはまずい、と思うと、カラカラカラと窓が開いた。外に飛脚さんと町娘みたいのがいた。そして「お返し」と言われた。私は「ありがとう。」と言うとすぐに窓を閉めて鍵をかけ、慌ててお風呂から出た。
怖かったがそのまま布団に入り寝た。
翌日、テストを受けた後、バイトが無かったので友達といた。すると、鹿島店から電話がかかってきて、「ちょと来れる?」と言われた。「今日はシフトじゃないんですけど。」と言うと、「あ、違う違う。来れないならいいけど。」と言われたので、用事もないし、「行けます。」と答えた。
店に着いて「何ですか?」と聞くと、「お得意さんが来て、あの元気のいい子は出勤じゃないの?」と言われたそうだ。「今日から期末試験なので、しばらく休みですよ。」と答えたそうだ。すると、「いや、アイス最中を差し入れようと思って。」と言われたそうだ。なので、「お金はもらっているから、どれか持って行っていいよ。」とのことだった。
家に帰り、部屋で寝ていると、飛脚さんと町娘が夢に出てきて、「お返ししたよ。お菓子、おいしかった。ありがとう。」と言われたのだが、その服装が、昨日までの着物ではなくて、今風の普通の服だったのだ。
そしてしばらくして、また鹿島店のバイトに入っていると、見覚えある二人連れのお客さんが来て、「この前のアイス、受け取ってもらえた?」と言われた。飛脚さんと町娘だと思った。その二人は以前から接客したことがあったのだが、やっと気づいた。「はい、頂きました。ありがとうございました。」と言った。その時、女性の方のお腹が大きかったので、「おめでたですか?」と言うと、「そうなのよ。」と言われた。
そして、その日買っていただいた商品を渡して「ありがとうございました。」と言って見送ったが、出口から小走りで戻ってきて手招きするので近づくと、小声で、「夢であったよね。」と言われた。私は驚いて「え、」と言うと、もう一度小声で、「夢であったよね。」と言われた。「はい、たぶん。」と答えた。私は訳も分からず「こわ」と思った。
そのあと店長さんに聞くと、「あの二人は自称運命の二人で、ずーっと、前世の前世の前世から二人でいるそうだ。」と言われた。私は「へー」と言ったが、じゃあ、前世の前世の前世であの二人は飛脚と町娘だったことになるのかと思った。
その後も、店にはその二人が来てくれていて、私が高校卒業で辞める前に子供も生まれていた。
なので、辞めるときには、近い方の店まで来てくれて、アイス最中10個入りパックまで買ってくれた。
それを私に渡すときに、私が「長い間ありがとうございました。」と言うと、そのお客さんは「またいつか、どこかで会いましょうね。」と言って帰っていったが、私にはその言葉が「来世で会おう」と思えて、怖かった。

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