reikonoburogu霊子の日記

あなたは霊の存在を信じますか?

心霊体験の話・鹿児島の兵隊

これは私の知り合い霊子(仮名)から聞いた話です。
昔から霊が見えるという霊子です。
本当かどうかは私にはわかりません。
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まだ6歳くらいの頃、鹿児島のおじさんの家によく遊びに行っていた。
かなりの山の中で、隣にお墓がある。
そんな田舎なのに、夜になると夏で暑い日も、毎晩雨戸を閉める。ご近所からも雨戸を閉める音が聞こえた。
何で毎晩雨戸を閉めるのか聞いたら、兵隊さんが来るからと言われた。
前の道を行進するそうだ。
その日の夜、寝てると音が聞こえてきた。「ズッズッズッ、ズッズッズッ」
確かに歩いている音が聞こえていたが、当時の私には意味が分からず、気にしていなかった。
ほぼ毎年遊びに行くのだが、高校生になって遊びに行った時、夜、たばこを吸いたくなって外に出た。
すると音がしてきた。やばいと思ったが、今から扉を開けて中に入るのも音がしてまずいと思ったので、そのまま隠れて見ていた。
何かが列をなして近づいてきて、植木や柵をすり抜けて、家の前まで来た。
確かに人の形をしているが、青黒い煙のようなものに包まれていてはっきりは見えない。
それでも映画で見る兵隊さんの行進のように、鉄砲を上に向けて抱えて片手を振りながら歩いているのは分かった。
すぐ前を10人ほどが通り過ぎて行った。
次の朝、おじさんに「兵隊さんって本当だったんだね。」と話すと、「何が?」と聞き返されたので、「昨日の夜見たよ。」と話した。
すると、血相を変えて「外に出たんかー」と怒鳴ってきた。
「兵隊さんを見ると、本当に悪いことが起こるから、1週間くらいここでおとなしくして泊まっていきなさい。」と言われた。
親は、学校があるから帰ると言っていたが、おじさんが真剣だったので、結局私だけ泊まることになった。
おじさんに、何があるのと聞くと、「兵隊さんは死ぬのが分かっていて出撃していった人たちなので、生きた人間を見るととても怒るんだ。」と話してくれた。
「私、どうしたらいいの?」と聞くと、「とりあえず、呼びに来られないように、部屋の真ん中で寝なさい。」と言われた。
おじさんの家は古いつくりなのでお風呂が外にある。夜は外に出れないので、まだ明るいうちにお風呂に入り、夕方暗くなるころにはすべての雨戸を閉めて、家の中でじっとしていた。
その日の夜、「ズッズッズッ」と歩く音がした後、「ガタンガタンガタン」と雨戸を叩く音がした。
こもったはっきりしないけど大きな声で「グンのメイレイできた。」と言っている。おじさんの顔を見たが、あまり気にしていないようだった。また大きく「ガタンガタンガタン」と叩く音がして「すみやかにとびらをあけろ。」と言っている。
私が、「誰か来たよ。」と言うと、「誰も来てない。聞こえてない。聞こえるのはお前だけだ。聞こえてない。」と言われた。
しばらくすると音はしなくなった。
次の日も、同じように「ズッズッズッ」「ガタンガタンガタン」「グンのメイレイできた。」「すみやかにとびらをあけろ。」と繰り返し聞こえた。
怖くなって「え、呼びに来てるの。」とおじさんに言うと、「まあ、一週間くらいしたら飽きてくれるだろう。」と言われた。
「じゃあ、私ここに居なくて、うちに帰った方が良かったじゃん。」と言うと、「もし帰っていたら、訳が分からず扉を開けたやろ。」と言われたので、確かに、と思った。
三日後、昼間にお坊さんが来て、おじさんに「最近、不吉なことが起きていませんか?」と聞いてきた。
おじさんが「この子が兵隊さんを見てしまったんです。」と答えた。
「あーそれはそれは」と言って玄関先にお坊さんの数珠を掛けてくれた。「これで今日一日、様子を見てください。」と言って帰っていった。
その日の夜も声が聞こえたが、強い声ではなくて苦しいようなうめくような「うーぐー」といった声だった。
翌朝、玄関の雨戸をあけると、数珠が粉々になっていた。
その日もお坊さんが来て、それを見ると「ああ、やっぱり」と言った。「あんたか、見たのは。」と聞かれ、「はい」と答えると、
「何で外に出たんや」と言われた。「外の空気を吸いに。」と誤魔化した。私が見た兵隊さんは、ずっと向こうを見ていたように見えたが、お坊さんによると、皆が私を見ていたそうだ。なので「ちゃんと謝りに行こう。」と言われ、おじさんの家から山の方に入った先にある祠に行って、「夜出てしまって見てしまい、すみませんでした。」と謝った。すると周りがざわざわと風が吹き始め、男の子のような小さな高い声で、「きゃはきゃは」と聞こえた。私は「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返していたが、なぜか涙が出てきて止まらなくなった。
おばちゃんにも「これで堪忍してくれたんだね。次から夜は出ちゃだめよ。」と言われた。
その日の夜、寝ていると、夢か幻かわからない感じの映像が見えた。大きな木造の建物の中で10歳くらいから16歳くらいの男の子がたくさんいて、私がここどこですかと聞いても、聞こえない・見えないように無視された。すると「ウーー」とサイレンが鳴って、「ああ、また誰か散ったね。」としゃべっていた。
見ると、一人、男の子の名札が見えた。のちに知覧に行った時、その名前が少年兵の名簿にあった。
私が夢で見たのは、知覧で出撃していった少年兵たちの様子だったんだと思った。

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