これは私の知り合い霊子(仮名)から聞いた話です。
昔から霊が見えるという霊子です。
本当かどうかは私にはわかりません。
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私が高校生の頃、電車通学をしていて、ホームにサラリーマン風のスーツ姿の男性が立っていた。
私は霊だと分かったが、霊に見えると気づかれると、ついてきたりして面倒なので無視していた。
でも、何度も同じホームでうろうろしているのを見る。
高校3年生も終わりごろ、もうすぐ電車通学も終わるというときになって、そのサラリーマンが話しかけてきた。
「見えるんでしょ?」と言う。その時なぜだかすごく悲しい気持ちになった。多分、その霊の感情を感じ取ったのだろうと思った。
なので、つい、「あ、はい。」と答えてしまった。
「どうしても、浮かばれたいんです。でも、行き方が分からないんです。」と言う。
いや、それに関しては、私にも考えがある。もし自殺した人なら、迷惑をかけた人や悲しむ人がいて、自殺してすぐに成仏することが正しいことか分からない場合もあると思うのだ。
なので、訳も分からずすぐに手助けは出来ない。
だけど、見ていると、だいぶ昔の人のようだ。数十年前のように感じた。しかも、ホームで誰かに突き落とされたようだった。
話も聞いたが、自殺ではないようだった。しかも、「妻と子供が向こうで待ってくれている。」と言う。
だけど、行き方が分からないというのだ。私はどうすればいいのか迷ってしまった。なので、一旦考えさせてください。と言ってその日は帰った。
自宅に帰り、お寺さんに電話して、事の次第を話した。私としては、出来なくはないけど、何故だか、してあげたいという気持ちも沸かなかった。
お寺さんには、「もう一度、ゆっくり話を聞きに行って、その時、やってあげたいと思うようになったら、そうすればいいと思うよ。」と言われた。
なので、翌日、学校は休みの日だったが、私服で駅まで出かけた。
そこにはサラリーマンが居て、私を見ると若干微笑んで近づいてきた。
「どうですか?」と言われた。私は正直めんどくさいとは思ったが、そう思うということは、やるのが嫌なわけではないのだと考え、もう少し聞いてみることにした。「奥様と子供さんを呼んでいいですか?」と聞くと、「はい。」と明るく返事が来た。
何本かの電車を見送って、しばらくそこで考えていると、女の人の霊が現れた。しかも、お腹が大きかった。そしてサラリーマンを見て「あんた」と声を掛けた。しかし、サラリーマンにはその女性が見えていない様子だった。私はその女性は奥さんなのだと思えた。
なので、サラリーマンに「子供さんって、お腹の中?」と聞くと、「そうですそうです。」との返事。でも、奥さんには姿は見えても言葉は聞こえていないようだった。
奥さんは、「あんた、ずっと帰りを待ってたんよ。」と言う。なので、サラリーマンに「奥さん、帰りを待ってあるらしいですよ。」と言った。
奥さんは、ご主人が亡くなった後、服毒自殺をしたらしい。
私は自殺した人の手助けはしたくなかったのだが、奥さんの霊はきれいなカスタードクリームのような色をしており、ご主人を待っていたことに嘘はないと思った。一方、サラリーマンはグレーで、何か遺恨を残しているように見えた。
サラリーマンは、「XX子のところに行きたい。」と言った。なので、奥さんに向かって「XX子さん?」と聞くと、「なんで私の名前を知っているの?」と驚かれてしまった。「いま、聞いたので。」と答えた。
さらに、「私は、どうしたらご主人を行かせてあげることができるの?」と聞いてみた。
すると、「この人は、まだ、罪を償っていない。」と言う。
「この人の罪って、何ですか?」と聞くと、「死んだときに、戻りたい戻りたいと思うだけで、私たちを置いて行ったことに対し、謝っていない。」という。
なので、サラリーマンに「じゃあ、XX子さんのことは、どう思ってらっしゃるんですか?」と聞くと、「誰よりも大事な人なんです。」と言った瞬間に、足からピーっと色が変わり、カスタードクリーム色になった。
すると、奥さんとサラリーマンは、お互いが見えて、聞こえるようになった。
「あんた。」「もう少しで生まれるな。じゃあ、あの世で3人で暮らそうか。」と言って、二人で手をつないで私にお辞儀をして消えていった。
私は、「これで良かったのかな?」と思ったが、家でお寺さんに電話してそう言うと、「だったら、良かったんじゃない。」と言われた。
その後、私の子供たちが小学校半ばになったころ、授業参観に行ったとき、幼稚園生が小学校に遊びに来たのに出くわした。
その幼稚園の男の子と女の子が、私を見て「バイバーイ」と手を振った。
授業参観が終わって帰りにも出くわした。するとさっきの二人が駆け寄ってきて私の手を握り、「バイバーイ」とまた言った。私も「バイバイ、気を付けて帰るんだよ。」と言うと、「うん、わたし、大きくなったら絶対子供産むね。」と女の子が言った。
数日後、別件でお寺に行くと、住職がいきなり「ああ、生まれ変わった二人に会えたんだね。」と言われた。「ああ、そうだったんだ。」と思った。
そして幼稚園の子が小学校に入学したあと、運動会を見に行ったとき、新一年生の紹介があり、その子の名は「XX子」と呼ばれていた。
私は、生まれ変わりって、あるんだな。と思った。
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