心霊体験の話・フランスの黒い花嫁

これは私の知り合い霊子(仮名)から聞いた話です。
昔から霊が見えるという霊子です。
本当かどうかは私にはわかりません。
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若いころ、フランスに旅行に行った。
地元では有名らしい、黒い花嫁　と呼ばれるスポットがあった。
友達のＡ子とそこに行こうということになった。立派な洋館のある、墓地だった。そこに、ウェディングドレスを着た花嫁が歩いていた。ドレスは白いのだが、黒くすすけて汚れていた。見えても目を合わせてはいけないというのが、暗黙のルールだと聞いた。
友達が、「いる？」と聞くので、「いる。」と答えた。「どこに？」「お墓の上を歩いている。うつむいて、なにやらぶつぶつと同じ言葉を言っているけど、たぶんフランス語で分からない。」と答えた。
見ている間、ずーっと歩いていて、私もだんだん怖くなってきた。友達に帰りたいと言い、そこを後にした。
夜、ホテルに戻って寝ていると、その声だけが聞こえてきて、どんどん近づいてくる。
私は、「Ａ子、Ａ子」と言って起こした。
「なにー？」「あの、墓地で聞こえた声がする。」と言った。
「まさかでしょー」と言われた。電気をつけたのだが、その時、窓の外に一瞬だけ、すす汚れたドレスの裾が見えた。
「えー、憑いてきてるー」と思って、何とかしようと思ったが、数珠もお線香もないので、何もできなかった。
でも、何か悪さをしてくる気配もない。下を向いてぶつぶつ言いながら歩いていたので、私には、何かを探しまわっているように思えた。
ここへも、探しに来たんだろうと思った。
でも、その後は霊障もなく、無事に旅行を続ける事が出来た。